なまらなんくるないさ



■■■ 2015.12.2 ■■■
#411 ひとりでは

若いご夫婦が、記念撮影をしています。
腕を伸ばして撮ろうとしますが、悪戦苦闘中のようです。
通りがかりのカップルが、シャッターを押してあげていました。
そのお返しに、ご夫婦がカップルを写します。
なんとも温かく、ほのぼのとした光景です。

写真をお願いできませんかという声が、背後からしました。
仲がよさそうなふたりを、喜んで写して差し上げます。
撮りますかとも聞かれましたが、謹んでご辞退をしました。
美しいイルミネーションに男ひとりというのは、あまりに淋しいです。


 撮影地 : 東京都 六本木
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■■■ 2015.12.4 ■■■
#412 写真とオリジナル

写真におけるオリジナルとはなんだろうかと、いつも考えてしまいます。
フィルムの頃は、印画紙に焼き付けることが大前提なので、
プリントがオリジナルだとしても、さほどの違和感はありませんでしたが、
写真の特性のひとつが、複製できることであるのならば、
絵画や彫刻ほどには、オリジナルの概念が確立されてはいないように感じるのです。
スマートフォンで撮影と保存がされて、紙に出力されない画像が爆発的に増えたことで、
プリントがオリジナルであるという考え方は、さらに揺らいでいる気がします。

写真そのものが、世の中のコピーだとも言われているので、
オリジナルかどうかという発想自体が、写真には向いていないのかもしれません。


 撮影地 : 東京都 神宮前
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■■■ 2015.12.6 ■■■
#413 青空に仕事

抜けるような青空の日に、仕事があるなんて最悪です。
つくづく、不幸な星に生れたものだと思います。
おまけに、ネクタイをしないといけません。
ひさしぶりなので、どう締めるのかも忘れてしまいました。

仕事があるなんて幸せだ、と言う人もいます。
しかし、前世がオオサンショウウオかナマケモノである自分は、
宝くじに当選をしたら、急に働かなくなるタイプです。
ナマケモノなので、売り場に並んだりはしませんが、
それでも、幸せにはなりたいのです。


 撮影地 : 東京都 練馬
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■■■ 2015.12.8 ■■■
#414 それはそれで

家計の支出に占める食費の割合が、エンゲル係数です。
人生のうちで写真に費やされる時間を、写真のエンゲル係数とするならば、
自分の場合は、かなり高い値になると思います。

暇があろうがなかろうが、写真をしています。
ほかにも楽しいことが、この世にはいろいろとあるのかもしれませんが、
気がつかないでいるのであれば、それはそれでよいのです。

自分は不器用なので、あれもこれもはできません。
それで人生を楽しめていれば、幸せなのだと思います。


 撮影地 : 東京都 銀座
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■■■ 2015.12.9 ■■■
#415 窓辺の読書

とある理由で、ワンルームマンションを借りました。
布団が届くのとガスの開栓で、初日の午前中は部屋で待機です。
静かなところでぼんやりしていると、気持ちがよくて、
誰も来ないと、眠たくなりますが、
いきなりピンポーンと鳴ると、心臓によくありません。

待つ時間は、暖かい窓辺で読書をしています。
「昼の学校 夜の学校+」という、すでに何度も読んだ本なのに、
喜ぶべきことなのか、それとも悲しむべきことなのか、
かなりの部分を忘れていて、新鮮な感じがするのです。


 撮影地 : 東京都 練馬
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■■■ 2015.12.11 ■■■
#416 日没直前

豪雨の中を出かけましたが、午前中には止んで、
お昼過ぎには、ピーカンの青空になりました。
しかし、夕方には再び怪しい雲が空を覆います。
前線の通過に伴い、最高気温は24度を超えて、
12月としては史上2番目の暖かさで、9月の陽気だそうです。

このような日には、ふらふらと散歩をしたくなります。
最近、見たことがないような風景が増えてきました。
光の感じも、なんとなく海外のようです。
日本以外のことは、ほとんど知らないのですが。


 撮影地 : 東京都 新宿
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■■■ 2015.12.13 ■■■
#417 いつかデジタルで

フィルムを使わなくなり、ほとんどすべてをカラーで写しています。
デジタルカメラであれば、後で変換ができるため、
同時に色ありとなしを撮影しているという考え方も、できなくはないものの、
理屈ではそうだとしても、なかなか気分的にはそのように思えません。
モノクロは、最初からモノクロで撮りたいのです。

モノクロで写したくなるデジタルカメラは、いまのところ見当たりません。
ライカから専用機が出ていますが、お値段が素晴らしいので、
清水の舞台どころか、自分にはスカイツリーから飛び降りる気でもないと買えません。
デジタルでのモノクロも、いつか試みてみたいものです。


 撮影地 : 東京都 渋谷
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■■■ 2015.12.15 ■■■
#418 とどのつまりは

最近は、スナップ写真の肖像権が話題になります。
誠意を示して写すことが大切などと言われますが、それはカメラマンの立場からの見方で、
どのようであれ、撮られるのは絶対に嫌だという人もいます。

その昔に、コンテストの応募で肖像権に関する質問があり、
とある新聞社が、祭りや駅など公共の場所で撮影をしたものは大丈夫だと答えていました。
祭りはカメラマンが多いので自分が写されるかもしれないという、無意識の認識がありますが、
普通に駅にいるところを撮られるとは、誰も思わないはずです。
マスコミは報道の観点から見ているために、世間とは感覚の差があるのかもしれません。
撮るか撮らないかの最終判断は、とどのつまりは自分自身でするしかないようです。


 撮影地 : 北海道 旭川
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■■■ 2015.12.17 ■■■
#419 原点の場所

高校を卒業して、初めてのひとり旅をしたのが神戸です。
その時に、自分のカメラを手にしました。
旅と写真の人生は、そこから始まります。

最初に経験をしたことは、不思議と記憶に残るものです。
友人の合格祈願の絵馬をかけた北野天満宮は、タイムスリップをしたかのようにそのままでした。
あたりの様子は、あまり変化をしていないようですが、
日本語ではない言葉が頻繁に聞こえてきたのには、さすがに時代を感じます。
この35年の間で、自分はどのくらい成長をしたのだろうかと、
当時のことを想うと、その場に立ち尽くしてしまうのです。


 撮影地 : 兵庫県 神戸
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■■■ 2015.12.18 ■■■
#420 写真のよいところ

いつまでも変わらずにできるのが、写真のよいところです。
年齢とともに、どうしても体力は低下をするので、
若い頃の感覚でスポーツをしていると、怪我をする懸念がつきまといますが、
シャッターボタンを押したら人差し指を骨折したという話は、聞いたことがありません。

撮影をしながら歩くことで、健康の維持にも繋がります。
ジョギングなどでは、脚力の衰えにより転倒をするかもしれませんが、
カメラを手に歩いてつまずくことは、あまりないと思います。
しかし、何事も過ぎたるは及ばざるが如しで、
自分のように重い機材を担いで5時間も歩くのは、さすがに愚の骨頂です。


 撮影地 : 東京都 練馬
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