なまらなんくるないさ



■■■ 2020.8.4 ■■■
#1271 物欲がなくて

欲しいカメラやレンズが、若い頃にはいろいろとありました。
千手観音ではないので、手は2本だけで、
使いこなす腕前も、持ち合せてはいませんが、
気になるものが、いつも存在をしていたのです。

しかし最近は、そのような製品が見当たりません。
機材が進化をしたことで、完成度が高くなり、
あまり不自由がなくて、買い替える必要がないこともあります。
物欲が湧かずに、節約ができるのはありがたいものの、
自分が枯れてきた感じもして、単純には喜べないのです。


 撮影地 : 東京都 新宿御苑
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■■■ 2020.8.6 ■■■
#1272 必要最小限

シャッターを切ると、カメラに画像が記録されます。
その一瞬に思考回路を複雑に働かせる余裕は、ほとんどないのです。
これは写真の特質のひとつで、面白さかもしれません。

ふと感じた景色を捉えるのが、自分のスタイルなので、
そうであるならば、ただ撮ればよいだけの話ですが、
さすがに無心のままでは、思うようには写りません。
肉眼と機材のギャップを埋める作業を、それなりにする必要があるものの、
入り込み過ぎてしまうと、おかしなことになりがちです。
必要最小限なだけを考えて撮影できるのが、理想的な気がします。


 撮影地 : 東京都 新宿三丁目
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■■■ 2020.8.8 ■■■
#1273 青空

毎月のように前を通り過ぎていたビルが取り壊されて、すこんと更地になりました。
ドラマやアニメの舞台にも使われていたそうですが、謎が多い場所のようです。
築50年はしているらしくて、そろそろ不具合が出ていそうで、
耐震性の問題もあるかもしれず、建て替えるのは仕方がないのかもしれませんが、
その存在がなくなると、大きく広がる青空が不思議に感じられます。

マイクロフォーサーズの9-18mmのズームで、見上げながら撮影をしたので、
周辺にある建物が、ピサの斜塔も驚くほどに傾いてしまいました。
肉眼の景色とは明らかに違うので、どうなのかなあという気もしますが、
超小型ながら超広角で写せるこのレンズは、とても重宝です。


 撮影地 : 東京都 代々木
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■■■ 2020.8.10 ■■■
#1274 無意識のうちに

病院の診察を受けた後で、ひさしぶりに新宿御苑のギャラリーへと向かいました。
その昔は、年間に200以上の写真展に足を運んでいたものの、
最近は少しばかり考えることがあり、ご無沙汰をしています。

この日に展示をされていたのは、尾仲浩二さんの未発表のカラープリントです。
ひとり旅をしながら日本の国内を写すという、自分に似たスタイルなので、
撮影のヒントが、いろいろと見つかることがあります。

そのような気づきが、月日の経過とともに複合的に重なり合うと、
無意識のうちに、より自然な感じで撮れるようになるのかもしれません。


 撮影地 : 東京都 新宿御苑
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■■■ 2020.8.12 ■■■
#1275 撮影の熱量

真夏の日中に歩いても、あまり苦痛ではない体質で、
街でのスナップならば、シャッターを切るのに数秒しかかからないためか、
暑さを感じるということは、ほとんどありません。

しかし、自然の中でマクロ撮影をする時は違います。
ピントや露出を慎重に決めたり、アングルや背景のボケを確認するために、
ひとつのシーンに集中をして、数分をかける場合があります。
手と指先以外は、ほとんど動かしていないにもかかわらず、
撮り終えた後には、滴り落ちるくらいに汗が出たりするのです。
写真を撮る行為は、見かけ以上に熱量を消費するものなのかもしれません。


 撮影地 : 東京都 練馬
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■■■ 2020.8.14 ■■■
#1276 鋭意準備中

あれやこれやとやらなければいけない案件が、ようやく一段落をしたので、
コロナウイルスがいなさそうな場所に、カメラを片手にぶらりと出かけるつもりでいたところ、
このような灼熱地獄の中で撮影をするのは、あなたは馬鹿なのではないですかという、
関係各部署からの、やんわりとした厳しいご指導があり、
そうかもしれないと考えを改めて、家でぶらぶらしていることにします。

それでも何もしないでいると、脳細胞が休眠化をしそうなので、
その昔に函館で写したモノクロフィルムを、スキャンすることにしました。
しばらくしたら、纏めてご覧をいただくつもりです。
鋭意準備中なので、なんの期待もせずにお待ちをいただければと思います。


 撮影地 : 北海道 函館
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■■■ 2020.8.16 ■■■
#1277 どちらが正解

引越しをして、身の回りが整理されました。
暗室の機材も、引き伸ばしレンズ以外は気合いで廃棄をしたものの、
考えてみれば、タンクとリールを残しておけば現像ができて、
スキャナーで取り込み、プリントをすることができました。
勢いがつき過ぎて、失敗をしたかもしれません。

しかし、これからフィルムで撮りたくなることがあるのかというと、
これだけデジタルカメラに馴染んでしまうと、それも疑問です。
もしもの時にはまた買えばよいのですが、その日は来ないような気がします。
捨てたのは、やはり正解なのだと信じたいものです。


 撮影地 : 神奈川県 江ノ島
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■■■ 2020.8.18 ■■■
#1278 0割2分8厘

狙い通りに百発百中で撮れればよいのですが、そう上手くはいきません。
3割バッターでさえ、3分の2以上は打ち損じをしています。
写真はさらに確率が悪くて、撮影をしても使わないものがほとんどです。
36枚撮りのフィルムの1本に、気に入るカットがひとつあれば御の字なくらいで、
それは0割2分8厘ですから、野球ならば話になりません。

写真家の場合は、率はあまり問題ではなくて数があればよいので、
そうだとすれば、とりあえずは写すことが大切なのです。
とにかく、シャッターを切らないと話が始まらないので、
気になるシーンには、できる限りカメラを向けるようにしています。


 撮影地 : 神奈川県 江ノ島
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■■■ 2020.8.20 ■■■
#1279 それほどは変われない

自分が撮る写真は、相変わらず暗いものばかりです。
人間の本質は、それほど変われませんし、
そもそも、この年齢では変化ができる幅は限られるので、
このような調子で、これからも続くのかもしれません。

歩きながら気になる光景があると、シャッターを切ります。
美しいと感じる景色も、それなりにはあるものの、
どきりとするシーンのほうが、目につきやすいようです。
もちろん、可愛い被写体があれば写して、
ウェブサイトを、多少は明るくしたいと思います。


 撮影地 : 東京都 表参道
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■■■ 2020.8.22 ■■■
#1280 ありがたい存在

街でスナップをする時に、ことさら人物を中心に考えることはありません。
建物や道路や車などの無機物、犬猫や鳥や植物というような有機物、
それらのあらゆるものは、すべて同格の構成要素です。

人間の顔は印象が強くて、画面全体を仕切る感じがあるために、
後ろ姿やシルエットのほうが、イメージの偏りを防ぎやすい気がします。
撮影上の道徳的な観点からしても、見えないで欲しいこともしばしばです。

自分が撮る写真のように、表面上のカタチだけを追いかけるのであれば、
マネキンは動かなくて表情もないので、ありがたい存在かもしれません。


 撮影地 : 東京都 新宿
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