なまらなんくるないさ



■■■ 2020.4.28 ■■■
#1221 もう戻れない

カラーフィルムをスキャンすると、シマウマみたいな縦縞が出ます。
そこそこ古いスキャナーなので、ついに壊れたのかと観念をしたものの、
電源を入れ直すと、きちんと画像を取り込んでくれました。
しかし、そろそろ動かなくなるのではないかと心配です。

30年ほど前に撮影をしたリバーサルをチェックしたら、紫に変色をしているものがあります。
カタチのあるものが劣化をするのは、仕方がないことかもしれません。

いろいろと考えてみると、デジタルのほうに優位性があるようで、
自分はもう、銀塩写真には戻れない気がします。


 撮影地 : 北海道 森
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■■■ 2020.4.30 ■■■
#1222 断捨離

片づけをしていたら、六切のモノクロ写真が大量に出てきました。
暗めに焼かれていて、ややシャドーが潰れ気味です。
いまであれば、もう少し違うトーンに仕上げたのではないかと思います。

暗室は暑さ寒さが厳しくて、中腰で立つ痛みにも耐えながらの作業でした。
デジタルのいまは、エアコンが効いた部屋で座りながらできますが、
なんとなく、堕落をしたような気にもなるのです。

保管をしておく場所がなく、ネガは手元に残してあるので、
勿体ないですが、プリントはすべて廃棄をしました。


 撮影地 : 青森県 野辺地
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■■■ 2020.5.2 ■■■
#1223 ヴィンテージ

古いプリントやフィルムの整理をしていて、つくづく感じるのは、
時が流れると写真は熟成される、ということです。

技術的にいまひとつでも、絵画的な美しさがなくても、
写されているものの価値は、時代とともに増してきます。
将来、タイムマシンでも発明がされれば別ですが、
過去に遡り撮影をするのは、誰にもできません。

自分が撮り始めた頃のネガを見ると、拙くて愕然としますが、
そのようなものでも、捨てたりはできないのです。


 撮影地 : 神奈川県 みなとみらい
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■■■ 2020.5.4 ■■■
#1224 野良鶏

30年ほど前に撮影をしたネガを、つれづれなるままに見ていると、
近所の公園に、野良ウサギや野良ニワトリがいました。

もちろん、太古の昔からいるわけではなくて、
飼われているものが放たれて、野生化をしたのだと思います。
それほどの不自由もなく、のうのうと生きていたということは、
あたりには、まだ野良猫がいない頃なのかもしれません。

背景にある見晴亭は、いつの間にかなくなりました。
店からの眺めはどのようなものなのか、いまは想像をするしかありません。


 撮影地 : 東京都 練馬
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■■■ 2020.5.6 ■■■
#1225 ふたつでひとつ

写真においては、被写体が重要なのはもちろんのこと、
よく言われるように、光も同じくらいに大切です。
両者は漫才のボケとツッコミのようで、片方だけでは成り立ちません。

曇りの日はモノの形がわかりやすく、どの角度からでも写せますが、
晴れた状態では、影という存在が加わるために、
それにより、撮るアングルが限られてしまいます。

とはいえども、太陽が輝いているからこその光景もありますから、
どのような天候でも、撮影日和なのかもしれません。


 撮影地 : 東京都 練馬
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■■■ 2020.5.8 ■■■
#1226 アスパラ

危ない場所で遊んでいる子供は、最近はあまりいませんが、
自分が小学生の頃は、むしろスリルを楽しむようなところがありました。

カンケリをしている時に、鬼は地上しか見ていないだろうと、
団地の2階に隠れていて、缶の真上から飛び降りて、
見事に蹴り倒したものの、脚を骨折した強者がいたのを思い出します。
ギンビスのビスケット アスパラガス ポッキン♪というCMソングが、その当時に流れていて、
それから彼は、アスパラと呼ばれるようになりました。

危険なこともしていましたが、それにより鍛えられた面もある気するのです。


 撮影地 : 神奈川県 江ノ島
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■■■ 2020.5.10 ■■■
#1227 引き伸ばし機

以前に住んでいた家に置いてある引き伸ばし機を、どのようにするかで思案中です。
ネガからのプリントは、いまはスキャンをしてインクジェットプリンターで出力をするので、
アナログ的に印画紙に焼き付けるということは、もうやらないと思いますが、
使うかどうかは別として、自分の写真を陰で支えてきてくれた機材を廃棄するのは、
果たしてよいものだろうかと、悩んでしまうのです。

銀塩用のペーパーも、愛用していた銘柄はすでに販売されていなくて、
これからは、ますます種類が限られてくるはずです。
最後の暗室をしてから、かれこれ十数年は経過をしているため、
上手くできるのかどうかも、いまは定かではありません。


 撮影地 : 静岡県 井田
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■■■ 2020.5.12 ■■■
#1228 幾度となく

その昔の浅草は、いまほどには混雑をしていませんでした。
カメラを手に、のんびりと歩けたと思います。

かつて訪れた場所に、幾度となく足を運びます。
景色が変化をしたり、季節や日時や天候で見え方が異なるだけではなくて、
年齢を重ねたことにより視点が変わり、こちらの撮影スタイルも同じではないので、
以前とはまた違う、別の写真が撮れる気がします。

花やしきの前の通りは、雰囲気が統一されて綺麗ですが、
ばらばらの頃のほうが、それぞれの個性が感じられました。


 撮影地 : 東京都 浅草
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■■■ 2020.5.14 ■■■
#1229 寝る前に読む本

このところ、武田花さんの本を読みながら寝ています。
写真家としては、30年ほど前に木村伊兵衛写真賞に選ばれて、
ご両親は文筆家として知られている、武田泰淳さんと百合子さんです。

脱力感に満ちたエッセイと、文章と関連があるのかないのかわからない写真の組み合わせ、
そして旅をしながらモノクロで撮影をしている雰囲気が、緩くて眠りを誘います。

広いカテゴリーでは、自分と似たスタイルのように感じますが、
突き抜けているところは、とても真似ができません。
すべてのことは中途半端ではなくて、極めないといけないようです。


 撮影地 : 北海道 万字
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■■■ 2020.5.15 ■■■
#1230 一発勝負

#1221から#1230のうちの8点は、フィルムからスキャンをしたものです。
銀塩で写していた頃は、撮り直せない一発勝負なのに対して、
いまの時代は、いろいろと試行錯誤ができる反面、
シャッターを切る緊張感は、いまひとつのような気がします。

デジタル化をしても変わらないのは、単写で撮影をしていることです。
#675や#1073のようなシーンでも、連写を使わないので、
類似をした前後のカットがなくて、よかれ悪しかれセレクトの余地がありません。
こだわりもありますが、ひとコマずつ撮るスタイルが体に滲み込んでいることもあり、
正直なところ、最新の機能を使いこなせていないのです。


 撮影地 : 北海道 塘路
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