晴れ、ときどき更新



■■■ 2013.6.8 ■■■
#011 可哀想な名前

名前は親が付けるので、当人の意思で選べませんが、
植物の場合も人間が決めるために、可哀想なものがあります。
いまの季節に咲くドクダミは、その典型です。

このあたりでは、スズランと同じ場所で咲き始めて、
白い花が一斉に開くと綺麗ですが、ネーミングで損をしています。
さらに、別名が地獄蕎麦なのです。

ドクダミとか地獄蕎麦と呼ばれたら、たぶん泣きます。
それにもめげずに、美しく咲いていました。



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■■■ 2013.6.11 ■■■
#012 黒の貴婦人

数年前から、ハグロトンボを見かけます。
近くにある川の水質が、改善をされたからかもしれません。
最初に見た時の2羽でしたが、昨年は8羽くらいの群れを形成していました。
匹ではなくて、鳥のように羽で数えたくなるくらい、
大きな翅を上下に揺らしながら、優雅に飛びます。
まるで、黒いドレスの貴婦人のようです。

近づこうとすると、最初のうちは逃げても、
しばらく繰り返すと警戒心が薄れるのか、寄れるようになります。
写真を拡大してみると、意外に脚は毛深いみたいです。



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■■■ 2013.6.16 ■■■
#013 小坊主弟切

コボウズオトギリは、植物の名前です。
弟切は文字の通りに、弟を斬るという意味で、
この植物から作る薬の秘密を洩らした弟を、兄が殺したという話からきています。
小坊主というのは、丸い実が禿頭に見えるからかもしれません。

花が咲いた後に白い実ができて、それが黄色になり、
さらにピンク、赤へと移り変わり、
長い間、目を楽しませてくれるのですが、
ドクダミと同じように、名前で損をしている感じがします。
ヒペリカム・アンドロサエマムという別名は、舌を噛みそうです。



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■■■ 2013.6.19 ■■■
#014 怖いファンタジーの世界

雨が上がり、カメラを手にして出かけると、
ハグロトンボの軍団は、数がまた少し増えていました。

小指の爪ほどのカタツムリがいたので、モデルをお願いします。
トンボやカタツムリと遊んでもらうなんて、子供みたいかもしれません。
拙者、もうじき51歳を迎えるオジサンです。

ファインダーで覗いてみると、可愛いファンタジーの世界でも、
目玉がリアルで、怖さも感じます。
ウルトラQに出てくる、ゴーガという怪獣を思い出しました。



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■■■ 2013.6.27 ■■■
#015 湧水から汲水へ

家の近くにある池は、よく手入れがされています。
台風で折れた枝も、しばらくすると綺麗に片づけられていたものの、
あまりに重いものは、すぐには動かせないようです。

その昔は、水が湧き出していましたが、
最近は、地下から汲み上げています。
池に流す量を増やし過ぎると、付近の井戸が枯れてしまうので、
時間の調整をしている、という話を聞きました。
以前のように、自然に任せられるようになるとよいのですが、
そこまで戻るのは、もう難しいかもしれません。



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■■■ 2013.7.2 ■■■
#016 一期一会

梅雨になると、ユリの花をよく見かけます。
このあたりで多いのは、白いテッポウユリや橙色のオニユリです。
昔の記憶には、まるで存在をしていないので、
園芸用として育てられた種が飛んで、自生をしたのかもしれません。

蕾から突然咲いて、大柄な花をつけるので、
ここにもユリがあるのかと、驚くこともしばしばですが、
美しいのは、わずかな間で終わります。
すぐに写しておかないと、たちまちにして形が変わるために、
植物の撮影は、まさに一期一会です。



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■■■ 2013.7.9 ■■■
#017 とおせみ

イトトンボのことを、とおせみと呼んでいました。
その語源は、灯心からきているようです。
油に浸して、火を灯す紐状のもので、
それほど細い体をしている、ということかもしれません。
情緒が感じられる、素敵な名前です。

トンボの中で、その年に最初に見かけます。
成虫のまま冬越しができる種類がいて、暖かい春の日に姿を現すことがあります。
あれほど華奢な体で、寒さによく耐えられるものだと感心をしますが、
ちいさいからこそ、なんとか頑張れるのかもしれません。



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■■■ 2013.7.15 ■■■
#018 空飛ぶトウガラシ

7月になると、池の上はトンボ天国になります。
ちいさなイトトンボから、大きなヤンマに至るまで、
昆虫に詳しくない人でも、そこそこの種類を確認ができます。

このあたりでは、それほど多くはありませんが、
ショウジョウトンボは、かなり目立ちます。
赤いトンボというと、お腹だけに色のついたものが多いのですが、
このトンボは胸から目玉から、全身がコーディネートされていて、
きちんと統一ができているために、素敵さが際立つのかもしれません。
まるで、空飛ぶトウガラシです。



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■■■ 2013.7.22 ■■■
#019 蓮の実

近くのお寺では、甕の中で蓮を育てています。
お参りをするたびに見ていますが、今年はいつも蕾の状態で、
花が開いているところは、まだお目にかかれていません。
日頃の行いが悪いのも、たぶんよくないのですが、
最大の原因は、朝寝坊をしているからだと思います。

花に出会えなくても、実を見ることはできます。
モグラ叩きのような、面白い形です。
食用になるようですが、まだ未経験なので、
どのような味なのか、いつかは試してみたいと思います。



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■■■ 2013.7.26 ■■■
#020 ようやく出たのに

ひさしぶりに早起きをして、池のほとりを歩きました。
朝の空気は、とても爽やかです。

やたらと目立つところで、蝉が羽化をしています。
純白なうえに丸腰なので、大丈夫なのだろうかと心配をしていましたが、
しばらくしてから見ると、抜け殻もろとも姿が見えません。
鳥か子供のどちらかに、捕えられたのではないかと思います。

土の中に長い間いて、ようやく地上に出てきたというのに、
不用意な場所を選んだばかりに、可哀想なことです。



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